チエトテの手

片田舎の手仕事家

手縫いのワークショップ

洋裁教室はコロナ禍でもエッチラオッチラ続けています。
ですが、すっかりお休みしている手縫いのワークショップ。
「再開しましょう」のお声が掛かりガゼン張り切り準備中です。
楽しみで仕方ありません。
このワークショップは、一着三回で完成させるまずまずハードな「お祭り」。
アドレナリンあふれ、心躍る程なので「お祭り」と密かにひとり呼んでいます。

ミシンが無くてもなんのそのの始まり

始まりは、娘さんがこども園に通っているお母さんからです。
「手縫いで洋服を作りたいから教えて」と言われた7年程前。
ミシンも無くて、園に持たせるモロモロを手縫いしたいそんな事から。
私も手縫いで、シャツやモンペなんかを縫っていたので二つ返事でOK!
手縫いのワークショップ「ちくちく手習いの会」は始まりました。

手縫いのワークショップってこんな感じです

実際のワークショップは、全三回、だいたい三時間づつ。
一ヶ月に一回で、その間持ち帰って作業する場合もあります。
遅れた分は次回までにお家で仕上げます。

さあ開始!布を裁ちます

裁断前にはサンプルを試着して、ご自分の出来上がり寸法を出します。
「キャッキャウフフ」の時間。皆さん夢が膨らみます。
個人宅やレンタルスペースで、5人から8人程がひしめき合い、2m程の布を広げ裁断します。
基本テーブルなどは無く床での作業。
床が最高です。間違いも起きづらい。
しかし、そんなですから、おでこがゴッツンコ、お尻がゴッツンコワイワイです。
二人一組で大きな生地を広げ、整え、印を付け。
ここで自然と皆さん仲良くチームワークも取れて来ます。
スペースの関係で二人一組で裁断。
大きな生地を扱うのには都合よく、また、教え合うことにもなるので好都合。
苦肉の策でしたが案外いい感じです。初回からこの方法を取っています。

 

印はしっかり付けて、さあ!待ちに待った裁断です。
皆さん、この裁断が一番のハードルかもしれません。
「キャーキャー」黄色い声を出しながらです。わかります緊張します。
私はみなさんが作業している間を巡回しながら、ちゃちゃを入れて回ります。
ズレなく生地を裁つコツは、ハサミを極力浮かせない。
これから切る生地は動かさず、切った布は自由によけながら切る。
曲線は細かくハサミを動かし、直線はゆっくりハサミの直進性を生かして切る。
とか何とかアドバイスしただけでどんどん上達していきます。
全3回のうちの初回は、だいたい印付けと裁断、次回の説明で終わってしまいます。
すっかり皆さんグッタリです。お疲れさまでしたー。

いざ手縫いチクチク!

さて、二回目以降。
ここからがお楽しみのチクチク。
針が曲がるほど力んでしまったり、筒にしたいところを閉じて縫ってしまったり。
初心者アルアルを繰り広げ、爆笑しながらの作業です

初めてのワークショップはVネックのチュニック。
最初は全く針も持ったことの無い方もいらっしゃいます。
糸の長さから始まって、針の持ち方、指ぬきの使い方。
玉留めや、返し縫い、始まりと終わり。
1から学んで行きます。
習いながら、練習しながら一枚完成させます。

殆どの縫いを並縫いでやっていきます。
波に乗ってくるとスイスイすすめられるので波縫い。
このワークショップでは、長針と指ぬきをセットで覚えてもらいます。
初めのうち針目は長かったり短かったり様々ですが、長針だと比較的真っ直ぐ縫うことが出来ます。
あまり針を抜かずに針の長さを生かして直線的に進めるのがコツ。
文章にするとうまく説明出来ませんが、このコツを皆さん徐々に掴んで行きます。
一枚縫い終わる頃には、長針&指ぬきセットが手放せない体の出来上がり。
そうとう経験値が上がっています。

初めのうちはやっぱり「ワーキャー」黄色い声が飛び交います。
そのうちに無言無言無言。
時々、失敗の「ギャッ」「アチャ」。
糸が絡まったり、とんでも無いところを縫ってしまったり。
自分の洋服ごと縫ってしまったり。
そのなこんなを乗り越えながら完成まで進んで行きます。

丁寧は手仕事の醍醐味

ところで手縫いで問題になってくるのが、布端の始末です。
そのままですと布端がバラバラになってフリンジみたいになってしまいます。
一般的に布端はロックミシンを使って始末します。
しかし、ここは手縫いのワークショップ。そんな訳には行きません。
手法は大きく2つ「折り伏せ縫い」「袋縫い」。
どちらも布端をしまい込んで縫い閉じます。
そこらの、既製品より美しく仕上がります。
手縫いのウイークポイント「縫い目の弱さ」もカバー。
一石二鳥です。
ただ、一箇所に付き二回縫わなければならない…。
衣服を一着縫うとはそう言うこと。丁寧な手仕事の醍醐味です。

完成!!

悲喜こもごもありながら、天塩にかけて丁寧に縫い上げた一枚が完成します。
リネン生地を色見本から選んで、自分のサイズに合わせて裁断。
肩こりにも負けず、針を曲げたりしながらやっとこ。
そして、すっかり長針には指ぬきが手放せなくなっています。
縫い上がるまで何度、試着したでしょう。
出来上がったモノにはどんどん愛着が湧いて溢れんばかりです。

ワークショップで作るものは自分が着るものです。
着たいものです。
練習、訓練しながらの本番。
これが、身のある時間になっていると思っています。
ですから終わりには「もう一着縫います」。
これが一番嬉しい言葉です。

何年も続きます。

お裁縫に苦手意識があった方も、一着作り上げた事で次への意欲が湧くもの。
ワークショップに参加したくらいですから、興味があったんです。
その興味が無くならないうちに完成させたらしめたもの。
少しづつ着実に、手が覚えて楽しくなります。
これで、お裁縫への苦手意識はどこかへ。

回を追うごとに、連帯感も生まれ。
教え合いながら、助け合いながら、ワークショップは続きます。
そうして、手仕事が自然に日々の暮らしへ。

気がつけば、あのときの赤ん坊はもう小学生。
そのお母さんはスッカリお裁縫上手。
またお裁縫上手なお母さん達と「キャッキャウフフ」できます。
夜な夜な次回作を考えてると、様々な事件簿を思い出しニヤニヤが止まりません。

さて、次回作の難易度はどれくらいにしましょうか。

生地探しは続く

ハンドメイド作家あるある【生地が欠品〜終了〜】

生地が欠品だらけ(涙)
コロナ前から、運送費や倉庫なんかの維持費が上がって、生地は値上がりしていました。
そして、コロナが来てウクライナ周辺のこともあって、今度は生地が欠品だらけです。

そうでなくても、生地は「定番でずっとそこに有る」といったモノでは無く、弱小個人事業者とっては、常に探し続けなければならないシロモノでした。

できる限り、作品をリネンやウールの100%で作ると決めています。
それがまた、生地探しを難航させる要因でもあるんですが、やっぱり天然素材でやりきりたい。
「土に帰る衣服」が基本路線です。

とは言え「合成繊維」それはそれで良さもあって安価で丈夫。
ミシン糸はポリエステル様々で、頼ってしまっていますし…。


話しがそれましたが、「値上がり」そして「欠品&終了」で生地の行方に悩ましい日々。そうは言っても今日は今日とてやっぱり生地探しです。

それと並行して「端切れや古着の利用」「ダーニング・繕う」「染め直し」などサスティナブルな方向に徐々にシフトしています。新しく作るモノ、再利用しながら作るモノ、バランスしながら活動することが、当面の課題と思っています。

やっぱりね、全ては変化してるんだなと。
決まった通りそのまま変化なく、凪のまま、ずーっとって訳には行かないのかぁ…。
と、独りごちるんです。